【独自告発】松山・300万トン鉄鋼スラグ不法投棄の闇:
愛媛県松山市高280番地の広大な土地に、300万トンを超える鉄鋼スラグが不法投棄されているとされる問題で、当時現場で搬入作業の核心に関わっていた元従業員のAさんが匿名で詳細な実態を証言した。
Aさんの口から語られたのは、平成7年の摘発前後から約10年間にわたり、毎日最大3,000トンものスラグが運び込まれていた生々しい現場の状況だ。さらに、単なる不法投棄にとどまらず、有価物と偽った「路盤材の横流しトラブル」、地元の不満を抑え込むための「多額の寄付」、そして現在も続けられている「地下水への塩酸大量投入によるPH偽装」など、驚くべき隠蔽工作の実態が弊社の調査とAさんの証言から浮き彫りになった。
1. 発端は農地の売買とポンジュースのヤミ廃棄に「青果連」の影
問題の土地は、もともと愛媛県青果農業協同組合連合会(以下、青果連)が所有する農地だった。平成4年(1992年)頃、この土地は福角工業側へ約1億円で売却される。その際、地元の「協和道路」から1億円の融資があったとされるなど、不透明な資金移動が当初から指摘されていた。
当時、福角工業に就職したばかりだったAさんによると、当初は青果連側から「ポンジュースの元」となるジュースの搾りカスが4トンダンプで直接持ち込まれていたという。しかし、この段階はのちに始まる大規模な「廃棄物持ち込み」の序章に過ぎなかった。

2. 摘発直後から始まった、一大搬入プロジェクトと「横流し」の過ち
その後、福角工業の社長・高橋英記は、神戸や大阪から船でスラグを運び込んでいた「東方金属」の松山支店組織である「東武開発(梅本所長 ※東方金属からの出向者)」と緊密な関係を構築する。
平成7年(1995年)、福角工業は不法投棄によって行政から摘発を受けるが、Aさんは「本当に深刻な大量搬入が始まったのは、その摘発のすぐ後からだった」と証言する。
【過酷なピストン輸送と驚異的な搬入量】
- 搬入期間: 平成7・8年頃から約10年間(Aさんが退職するまで継続)
- 1日の搬入量: 少ない日でも800トン、多い日は1日3,000トン
- 稼働ダンプ(計15台): Aさんの所属会社(福角工業)、現在の堀江工業のダンプ10台、東武開発が東方金属から所有するダンプ5台
- 運行実態: 早朝5時頃から出発し、1日往復15回ものピストン輸送を繰り返した。
「不法投棄と薄々知りながら…」破格の給与と口封じの寄付
Aさんは当時、日に3万円近くを稼ぎ、毎月80万円もの高額な給料を受け取っていた。「これだけの額をもらっていたので、不法投棄とは薄々知りながらも働くのを辞められなかった」と、当時の複雑な心境を吐露している。
それまで2度、3度と倒産を繰り返していた福角工業だったが、このスラグ搬入を始めてから一気に景気が好転。地元の祭りや、現場に隣接する「狼神社」へ多額の寄付を行うことで、住民からの苦情や行政への通報を執拗に抑え込んでいた実態も明らかになった。
さらに、高橋英記社長から「有価物(製品)」であると聞かされていたAさんは、東方金属の大加賀にある岸壁から積み込んだ鉄鋼スラグを、松山市の「中央建材」に横流ししたという。中央建材はそのスラグを上場企業である「前田道路松山支店」に路盤材として販売。しかし、そのスラグを使用した道路がのちにデコボコに隆起(膨張)する深刻な問題が発生し、中央建材は前田道路に対して巨額の賠償金を支払わされる事態に発展している。本来必要な熱処理などの不純物除去を行わないまま、形だけで流通・埋め立てを行っていた何よりの証拠と言える。
3. 25年が経過した現在:太陽光発電への化けと「塩酸中和」の欺瞞
現在、この不法投棄現場は、堀江工業の二代目社長・高橋真也の姉である高橋英子が代表を務める太陽光発電会社「堀江環境エネルギー」の所有名義となっている。敷地は監視カメラや警備会社の塀で厳重に囲まれており、外部からの立ち入りを頑なに拒む構えだ。
しかし、弊社の直近の調査では、不法投棄から25年以上が経過した現在も、地表部分でpH9.5という強いアルカリ性数値が検出されている。
さらに恐るべきは、敷地内にある「神鋼スラグ製品株式会社」の処理場で行われている隠蔽工作だ。この現場に堆積したスラグからは、強アルカリだけでなく、有害な重金属も含まれている。
関係者の証言によると、同処理場ではこれら有害物質を根本的に除去するのではなく、地下水に大量の「塩酸溶剤」を直接混ぜて撹拌(かくはん)し、PH(水素イオン指数)の値だけを基準値内に収めて外部へ排出しているという。つまり、PH値こそ誤魔化せているものの、その他の有害な重金属などは完全に除去されないまま、環境中に垂れ流されている可能性が極めて高い。
4. 周辺環境への影響と、求められる行政の強制捜査
Aさんは、「あの処理場だけでは、山全体の水をすべて集めて処理しきることは絶対に不可能。あちこちから強アルカリや有害物質を含んだ水が漏れ出し、下を流れる川へそのまま流れ出ているはずだ。昔はよくその水路の掃除をさせられた」と、当時から続く環境汚染の恐怖を語る。
もし今、行政が重い腰を上げ、正規の掘削・立ち入り調査を行えば、「間違いなく大量のスラグが出てくるし、土地の深刻な重金属汚染も発覚するはずだ」とAさんは断言する。
過去に今治市吉海町でもスラグの一時保管トラブルを起こした東武開発、排出責任から目を背け続ける大手鉄鋼メーカー(神戸製鋼グループなど)、そして名前を巧妙に変えながら土地を占有し続ける堀江工業一族。25年以上の沈黙の裏で進む環境破壊を止めるため、行政は一刻も早く強制的な実態調査と土壌・水質改善へのメスを入れるべきだ。
元従業員が語る「1日3,000トン」搬入の裏側 インタビュー全文

愛媛県松山市高280番地の土地において、300万トンを超える鉄鋼スラグが不法投棄されている疑惑。東方金属、堀江工業、そして福角工業の3社が関わっているとされるこの問題について、当時、現場で搬入に関わっていた元従業員のAさんにお話を伺った。
■ はじまりは「ジュースのカス」だった
取材者:
今日は、松山市高の土地におけるスラグ不法投棄問題について取材させていただきます。よろしくお願いいたします。
Aさん:
よろしくお願いします。
取材者:
まず確認ですが、Aさんが福角工業(のちの堀江工業)に就職されたのはいつ頃でしょうか?
Aさん:
平成4年(1992年)だったと思います。
取材者:
当初、福角工業はポンジュースの元である「青果連」(愛媛県青果農業協同組合連合会)から、ダンプで何かを運んでいたという話を聞きました。詳しく教えていただけますか?
Aさん:
私たちが直接取りに行くのではなく、青果連の方から4トン車などで直接持ってきていましたね。ジュースのカスのようなものです。
取材者:
あの土地はもともと青果連の農地でしたね。平成4年頃に、青果連から堀江工業側へ1億円ほどで売買契約が結ばれたようですが、その際、松山市の「協和道路」という会社から1億円の融資があったことはご存知ですか?
Aさん:
協和道路へは仕事で行っていたので会社自体は知っていますが、社長同士のお金のやり取りについては分かりません。
■ 東方金属との親密な関係と、スラグの流入
取材者:
では、本題の鉄鋼スラグについてお伺いします。これはどこから、どのような形で運ばれてきたのでしょうか。
Aさん:
元は東方金属から入ってきていました。神戸や大阪の方から船で入ってきて、東方金属を通して運ばれていました。
取材者:
堀江工業は、直接スラグを大量に買い付けるほどの規模ではなかったため、東方金属の松山支店のような位置づけだった「東部開発」の所長と、堀江工業の社長が親密になり、そこから依頼されたという情報があります。
Aさん:
かなり親密になっていた感じでしたね。
平成6年か7年(1994〜1995年)頃に初めて松山に入ってきたものは、今捨てられている「仮置き」のものとは別の、製品としてのスラグでした。
取材者:
弊社の調査では、2006年頃に今治市の吉海町(大島)でも東部開発がスラグを一時保管しており、その排出責任が神戸製鋼と日進製鋼(現:日本製鉄)にあったことが分かっています。
松山の現場では、当時から農業用水に汚染水が混じっているという苦情も出ていました。不法投棄として福角工業が摘発されたのは平成7年ですが、スラグの本格的な運び込みはその前後ですか?
Aさん:
摘発のすぐ後ぐらいから始まったと思います。
■ 毎日最大3,000トン、10年間に及ぶ搬入
取材者:
農地法では、農地を改良する目的でなければそのようなものは置けないはずですが、Aさんは就職してから何年間、このスラグの運び入れに関わっていたのですか?
Aさん:
辞めるまでの11年間です。平成7年か8年頃から搬入を始めて、私が辞める時もまだやっていましたから、10年近くは続けていたと思います。
取材者:
1日にどれくらいの量を運んでいたのでしょうか。
Aさん:
多い時で1日に3,000トン。少なくても800トンはありました。だいたい毎日2,000トンから3,000トンが入ってきていましたね。
取材者:
10トン車で3,000トンとなると、相当な台数が必要になりますよね?
Aさん:
私のいたところが10台、堀江工業が10台、そして東方金属直系の東部開発が5〜6台動いていました。東部開発には梅本という所長がいましたね。
取材者:
本来、スラグを有価物(製品)として販売するためには、熱処理をして不純物を飛ばす必要があります。そのような処理は現場でしていましたか?
Aさん:
東部開発がドバ(土場)を構えていて、「そこで一度試験的にやる」と言って持っていったことはあります。今思えば形だけだったのかもしれませんが、50台分くらいは持っていきました。
■ 25年経った今も続く、強アルカリ汚染の懸念
取材者:
現在、その不法投棄現場は、堀江工業の社長の娘さんが経営する太陽光発電の会社(あかりエネルギー株式会社)の名義になっています。
現地を調査したところ、25年経った今でも地表部分で「pH9.5」という数値が出ました。内部を調べようにも、監視カメラや警備会社の塀で厳重に立ち入りが制限されています。もしここに正規の行政調査が入れば、スラグは出てきますか?
Aさん:
間違いなく出ますね。土地も汚染されているでしょう。
取材者:
現場には地下水を溜めるホースがあり、処理場が設けられています。その処理場の所有者は、神戸の会社である「神鋼スラグ製品株式会社」となっています。
取材によれば、pH9.5から12.5という強アルカリの地下水を中和剤で処理して流しているようですが、その処理場は表からは全く見えません。
Aさん:
あそこ(の処理場)だけでは水は全部集まらないでしょうし、あちこちに流れ出ていると思います。下には川もありますから。昔は水路の掃除を何度もしました。
取材者:
周辺環境への影響を考えても、1日も早く行政と企業が調査・改善に乗り出すべきですね。本日は貴重な証言をありがとうございました。









