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ロシアの野党指導者ナワリヌイ氏がこん睡状態に 「毒を盛られた」可能性も
ロシアの野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏(44)が、体調不良を訴えて入院し、こん睡状態に陥った。毒物を盛られた疑いがあると、同氏の広報担当者が20日、明らかにした。
ナワリヌイ氏はロシア国内を飛行機で移動中に体調を崩し、この飛行機は中南部オムスクに緊急着陸した。広報担当者は、出発地トムスク空港で飲んだお茶に何かが混ぜられていた可能性があると話した。
同氏が入院した病院は、ナワリヌイ氏の容体は安定しているものの、症状は重篤だと説明している。
ナワリヌイ氏は、ウラジミール・プーチン大統領を厳しく批判してきた。今年6月行われた憲法改正についても、「クーデターだ」、「憲法違反だ」と非難していた。
ロシア政府は、ナワリヌイ氏の「早急な回復」を願っていると声明を発表した。
一方、イギリスのドミニク・ラーブ外相もこの件に言及。ナワリヌイ氏が毒を盛られた可能性があることを「非常に懸念している」と述べた。
現在の容体は?
ナワリヌイ氏が2011年に発足した反汚職連盟のキラ・ヤルミシュ氏はツイッターで20日、「ナワリヌイ氏は今朝、トムスクからモスクワに帰る予定だった」と明らかにした。
「フライト中に体調を崩し、飛行機はオムスクで緊急着陸した。アレクセイは毒を盛られた。現在、我々は病院に向かっている」
「アレクセイのお茶に何かが混ぜられたと、私たちは疑っている。彼が朝から飲んだのはそれだけなので」
「医師によると、毒物は熱い液体に混ぜると早く吸収される。いま現在、アレクセイは意識不明だ」
ヤルミシュ氏はその後、ナワリヌイ氏が人工呼吸器をつけ、昏睡(こんすい)状態にあるとツイート。さらに、病院には警官がつめかけており、ナワリヌイ氏の持ち物はすべて没収されたと述べた。
また、医師らはどんな情報でも提供すると言っている一方で毒物検査が遅れているとも話しており、「明らかに時間稼ぎをしていて、知っている情報を言わない」と病院を非難した。
病院にはナワリヌイ氏の妻のユリア・ナワルナヤ氏と、かかりつけ医のアナスタシア・ワシルイエワ氏も到着。
当局は当初、ナワリヌイ氏が面会に合意していないとして、ナワルナヤ氏の面会を許可しなかった。しかしヤルミシュ氏によると、ナワルナヤ氏はその後、病室への立ち入りを許可されたという。
ワシルイエワ氏は、ナワリヌイ氏を欧州の毒物専門の施設へ移送したいと考えているが、病院の医師が診察データなどの提供を拒否していると話した。
現地報道は何と?
タス通信は、オムスク緊急病院関係者が「アレクセイ・アナトリエウィチ・ナワリヌイ、1976年生まれ、毒物を盛られて緊急治療室にいる」と話しているのを聞いたと伝えている。
しかしその後、同病院の内科副科長は記者団に対し、ナワリヌイ氏が毒を盛られたかどうかは定かではなく、「自然な中毒症状」の可能性も考えられると話した。
ディミトリイ・ペスコフ政府報道官は、政府は全ての市民に対してと同じように、ナワリヌイ氏の回復を願っていると述べた。また、要請があれば国外での治療を許可する可能性もあると話した。
ソーシャルメディアに投稿された動画には、ナワリヌイ氏が空港の滑走路でストレッチャーに乗せられ、救急車へと運ばれる様子が映っている。
別の動画では、ナワリヌイ氏が機内で痛みを訴えている様子も見てとれた。
同じ飛行機に乗っていたパヴェル・ラベデフ氏は、「飛行機が離陸してすぐ、彼はトイレに行ったまま戻ってこなかった。それから具合がどんどん悪くなっていった。周りの人は意識を回復させようと苦労していたし、本人は痛みに叫んでいた」
ソーシャルメディアには、ナワリヌイ氏がトムスク空港のカフェでカップから何かを飲んでいる写真も投稿された。
インターファクス通信は、このカフェのオーナーが監視カメラをチェックし、証拠を見つけようとしていると報じている。
アレクセイ・ナワリヌイ氏とは?
汚職撲滅運動家のナワリヌイ氏は、議員ではないものの、2011年の議会選挙以降、プーチン大統領と幹部への抗議活動を続けている。プーチン大統領率いる与党・統一ロシアを「いかさま師と泥棒の党」と呼び、これまでに何度も逮捕され、禁錮刑となっている。
2011年には、統一ロシアが議会選挙で不正投票を行ったことに抗議し、逮捕。15日間刑務所に入れられた。
2013年にも横領の容疑で禁錮刑となったが、政治的に断罪されたと非難している。
2018年に行われた大統領選では、公金横領事件で有罪判決を受けたことを理由に出馬申請を却下された。同氏はこれは、政治的な意図による判断だと否定している。
2019年7月には、認可のない抗議活動をしたとして30日間の禁錮刑となったが、その最中に体調を崩して病院へ搬送された。
医師は「接触性皮膚炎」と診断したものの、ナワリヌイ氏は自分はアレルギーになったことはないと反発。かかりつけの医師には「何らかの毒物」にさらされた可能性があると診断されたと述べ、毒を盛られた可能性があると話していた。
2017年にも消毒薬を顔にかけられ、右目に化学火傷を負っている。
ロシア政府は昨年、「外国機関」への監視を強化する法律を制定していたが、この中にナワリヌイ氏の反汚職同盟も含まれた。
過去にも反政府派への攻撃
ナワリヌイ氏が毒を盛られていたことが確認された場合、過去に起きたプーチン大統領を批判する人々への攻撃にも再度、スポットライトが当たることになる。
政治家のボリス・ネムツォフ氏やジャーナリストのアンナ・ポリツォフスカヤ氏はどちらも射殺された。2006年には、ロシアの元情報将校アレクサンドル・リトヴィネンコ氏がイギリスで放射性物質を盛られて毒殺された。
ジャーナリスト兼反政府活動家のウラジミール・カラ=ムルザ氏は過去に2回、ロシアの情報機関に毒を盛られた疑いがある。2015年には腎臓疾患で一時は危篤にまで至り、その2年後にもこん睡状態に陥った。
反政府活動家のピョートル・ウェルジロフ氏は2018年、裁判所に出頭した後に体調を崩し、視力と話す能力を失った。ウェルジロフ氏も、政府情報機関に毒を盛られたと非難している。
この年には、英ソールズベリーでロシアの元スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏(66)と娘のユリアさん(33)が有毒の神経剤「ノヴィチョク」を浴びて重体となった事件が起きた。イギリス政府は、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)がこの事件に関わっているとみているが、ロシア政府は関与を全面否定している。
引用元:【写真】プーチン氏「粛清」標的になったのは20人以上 苦しみ抜かせる残忍な手口|NEWSポストセブン - Part 2 (news-postseven.com)
プーチン氏「粛清」標的になったのは20人以上 苦しみ抜かせる残忍な手口
ウクライナ侵攻に踏み切ったロシアのプーチン大統領。その裏側には、恐るべき“粛清”の歴史がある。 【表】射殺や毒殺まで… プーチン氏の関与が疑われる“不審な死”の一覧
「プーチンよ、1人の人間を黙らせることができても、世界中の抗議の声を封じ込めることはできない」──死の2日前、妻マリーナにそう言い残し息を引き取ったのは、元FSB(ロシア連邦保安局)幹部のアレクサンドル・リトビネンコ氏だ。 2006年11月、英国・ロンドンに亡命して6年目の記念日を妻とささやかな手料理で祝った直後に、体調が急変──髪の毛はすべて抜け落ち、腎臓や心臓などの内臓は蝕まれ、骨髄不全に陥るという壮絶な最期だった。リトビネンコ氏はプーチン政権による不正や暗殺を内部告発し、ロシアのチェチェン侵攻を徹底的に批判していた。それゆえ、プーチン氏から“報復”を受けたとされている。英国在住の国際ジャーナリストである木村正人氏が解説する。 「リトビネンコ氏の遺体からは、ロシアの国家施設でしか製造できないといわれる放射性物質の『ポロニウム210』が検出されました。英国の調査委員会は事件から9年後の2016年、暗殺にロシア政府が関与しており、少なくともプーチン大統領の承認を得ていたと結論づけました」 プーチン氏は常々、「組織の裏切り者には残酷な死を与える」と公言。背筋が凍るのはその手口だ。 「すぐには殺さず苦しみぬいて死ぬように量を調整された放射性物質がリトビネンコ氏に対して使われたとみられています。反逆者を見せしめにすることで、組織への忠誠を誓わせる狙いなのでしょう」(木村氏) 2000年のプーチン大統領就任後、未遂も含めると20人以上が命を狙われたとみられている。 「プーチンは99年に勃発した第二次チェチェン紛争を制圧して権力の中枢に駆け上がりました。KGB(ソ連国家保安委員会)の後身であるFSBの長官時代には、特殊工作を行なう機関を創設しており、それ以降チェチェン独立派の指揮官や政敵、ジャーナリストが次々と不審な死を遂げました。さらに近年は一般市民や活動家にまで及んでいます」(木村氏) 2018年3月、英国南部の古都ソールズベリーのショッピングモールのベンチに1組の男女が意識不明で倒れているところを発見される。2人の体からは神経剤の「ノビチョク」が検出された。
ウクライナ侵攻に踏み切ったロシアのプーチン大統領。その裏側には、恐るべき“粛清”の歴史がある。 【表】射殺や毒殺まで… プーチン氏の関与が疑われる“不審な死”の一覧
「プーチンよ、1人の人間を黙らせることができても、世界中の抗議の声を封じ込めることはできない」──死の2日前、妻マリーナにそう言い残し息を引き取ったのは、元FSB(ロシア連邦保安局)幹部のアレクサンドル・リトビネンコ氏だ。 2006年11月、英国・ロンドンに亡命して6年目の記念日を妻とささやかな手料理で祝った直後に、体調が急変──髪の毛はすべて抜け落ち、腎臓や心臓などの内臓は蝕まれ、骨髄不全に陥るという壮絶な最期だった。リトビネンコ氏はプーチン政権による不正や暗殺を内部告発し、ロシアのチェチェン侵攻を徹底的に批判していた。それゆえ、プーチン氏から“報復”を受けたとされている。英国在住の国際ジャーナリストである木村正人氏が解説する。 「リトビネンコ氏の遺体からは、ロシアの国家施設でしか製造できないといわれる放射性物質の『ポロニウム210』が検出されました。英国の調査委員会は事件から9年後の2016年、暗殺にロシア政府が関与しており、少なくともプーチン大統領の承認を得ていたと結論づけました」 プーチン氏は常々、「組織の裏切り者には残酷な死を与える」と公言。背筋が凍るのはその手口だ。 「すぐには殺さず苦しみぬいて死ぬように量を調整された放射性物質がリトビネンコ氏に対して使われたとみられています。反逆者を見せしめにすることで、組織への忠誠を誓わせる狙いなのでしょう」(木村氏) 2000年のプーチン大統領就任後、未遂も含めると20人以上が命を狙われたとみられている。 「プーチンは99年に勃発した第二次チェチェン紛争を制圧して権力の中枢に駆け上がりました。KGB(ソ連国家保安委員会)の後身であるFSBの長官時代には、特殊工作を行なう機関を創設しており、それ以降チェチェン独立派の指揮官や政敵、ジャーナリストが次々と不審な死を遂げました。さらに近年は一般市民や活動家にまで及んでいます」(木村氏) 2018年3月、英国南部の古都ソールズベリーのショッピングモールのベンチに1組の男女が意識不明で倒れているところを発見される。2人の体からは神経剤の「ノビチョク」が検出された。
【写真】プーチン氏「粛清」標的になったのは20人以上 苦しみ抜かせる残忍な手口|NEWSポストセブン - Part 2 (news-postseven.com)
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