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バルチックカレー、中国から撤退 IA GLOBAL JAPAN(株) 執行役員 吉野幸規氏に聞く

(@kanri)
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Admin
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出典:政界往来  http://seikaiourai.jp/1208/120824.htm

中国人とは付き合いたくない

 バルチックカレーは2006年から中国展開を図ったが、結局、中国側から梯子を外されて頓挫。中国からは総撤退せざるを得なかった。その実態と教訓を、トップだった吉野幸規氏に聞いた。吉野氏は現在、IA GLOBAL JAPAN㈱ 執行役員を勤めている。

 


 

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【プロフィール】
昭和39年、埼玉県川越市生まれ。桜美林大学卒業。バルチック社長を経てIA GLOBAL JAPAN(株)執行役員。家族は6歳年上の中国人妻と娘2人。娘2人がロンドンに留学したことで、妻もその面倒をみにロンドンへ。不思議な逆単身生活者に。

──日本で成功させたバルチックカレーの中国展開はどうだったのか?

 2004年に香港進出し、中国が06年ぐらいだった。

 最初、北京、それから蘇州、上海など5店舗だ。ただ日本との商習慣の違いに翻弄されてなかなか思うようにいかなかったというのが実相だ。

 最初は中国側から歓迎されて、ぜひ来てくれ、場所も出すし金も出す、バルチックカレーのノウハウだけ出してくれればあとは全部、中国側がやるという話だった。さらに家内が中国人で、向こうでのコネもあったし、ある程度の勝算はあると思った。しかし、結局、組んだところがはしごを外して、口は出すがお金は出さなくなった。日本との商習慣や商道徳が全く違っていて発展的展開とはならなかった。

 

──具体的に何が問題だったのか?

 相手方はマクドナルドの経験もあるからということだったので、僕らもそれにホイホイ乗ったんだけど、そうしたら、向こうの部長クラスでも給料は5万円ぐらいだ。こっちから行く人間は若くても、30万円程度はとる。それが向こうの人間からしてみれば面白くない。あんな使えない人間がどうのこうのとなって、人間関係が難しくなってきた。

 しかも、中国人はそうしたことを全部、上にちくる。そうすると中国側の上の人間は、日本本社はそんな人間しか寄こさないのかとなってくる。

 トップ同士では、いつも握手してうまくいっているんだが、現場の足の引っ張り合いというか、一方的に引っ張られただけの話だが人間関係がギクシャクしてきた。

 さらに、向こうはプライドがあるから、こっちのやり方にはいちいち文句をつけてくる。中国には中国のやり方があるのだといって結局、全くこちらの話に耳を傾けてもらえなくなった。

 

─一番の問題は人間関係? それとも乗っとられた?

 乗っとられたわけではない。なにしろ言うことを聞いてくれない。

 物件に関しても、ここじゃだめだと言っても、いや日本人は分かっていないと言う。

 

──店舗進出の場所も向こうが主導権を握る?

 そうだ。自分たちはマクドナルドやったから大丈夫だというが、どう見ても家賃が高すぎる。

 逆算して苦しいからといっても、そんなんじゃだめだとあっさりこちらの話を切ってくる。

 そうしたら案の定、赤字にこそならなかったが、それほど儲からなかった。

 まして最初は、加盟金こそ払わないけど、全部あご足付きで出店の費用だとか全部出す、こちらはノウハウだけ出せばいい契約だったが、その契約も守られなかった。

 結局、こちらからの人件費も出さないし、渡航費も出さない。

 

──結局、向こうが言っている話と現実は違ってきた。

 どんどん、そういう形で話は変わっていった。

 

──契約があったはずでは?

 契約不履行だったが、違約金の規定はなかった。向こうは判子なんかいくらでも押す。

 こっちとしては発表してオープンまでこぎつけて、テレビ局まで来て取材し、大食いのタレントを連れて行ってイベントを組んだりしているのに、いまさら契約不履行でやるわけにはいかなかった。

 人間関係を作っていく中でうまく流していくのが、中国のやりかただと知っていたから、そうしたがそれが裏目に出た。

 そういう形で、結局、こちらが引くと、その引いた線が中心になっていくというパターンだ。最後は全部、うちに被せてくる。撤退するときは、それこそ「お前、いままでの金返せ」とまで言われた。こちらからすれば「ふざけるな」という話だ。

 だけど裁判やっても勝てない。

 だから北京はやめて、上海は独自でやろうと思った。そしたら副社長の奥さんが中国人なんで、自分の一族だけ雇用し、給料は20万円ぐらい出していた。日本だと高くないが、中国だったらかなりの高給だった。それもそうした高給取りを何人も雇用した。

 それで当然、赤字になる。業者からも10元(約120円)で買える物を、30元(約360円)で買いつけていたりしていた。

 余りにもおかしいので、うちのかみさんが出かけていくと、そういった不正がいっぱい出てきた。

 それで一旦、撤退して他のやり方にしようということで再起を図ったが、結局、体力ももたないしもうやめようとなった。

 今は香港に3店舗残っているだけだ。

 

──再進出は考えているのか。

 バルチックの時は株主が多かったので、本来は飲食店の総合商社みたいなグループを作るつもりだったが、一切、手を引いた。

 結局、中国進出が足かせになったので、今は食べ物はいっさいやっていない。

 その時、米国でOTCに上場はしている「IA GLOBAL JAPAN㈱」という株式会社を買って、バルチックだとか他の会社をくっつけて、法人カンパニーにして、価値を高めていこうという仕事に切り替えた。

 

──新しいフィールドワークに転じた背景は?

 それまで食べ物業界で20年やってきた。しかし、食べ物産業のマーケットはピークをうち、パイが縮小を始めている。

 僕の場合、オリジン弁当同様、中食といって持ち帰りの弁当業界だったから、ITバブル崩壊後も割と伸びていた。

 その後、年々、10%位ずつ、マーケットが落ちてきた。さらに、デフレでどんどん食べ物が安くなってきた。当初、一食500、600円だったのが、大体、新橋あたりのサラリーマンは昼食は、300円から400円で食べるようになっている。

 それだと、もう採算が合わなくなる。吉野家では食べ物の種類を増やしたり、値段を下げたりしているが、それをやった時点で儲からなくなる。絞りこんで、ちゃんと利益をとらないと、自分で自分の首を絞めるようなもので、やっていけなくなる。

 それをメニューを増やしたりとか、人間を減らしたりとかしても、それこそサービスが悪くなって、悪あがきでしかなくなる。さらに、不景気だとみな、食べ物産業に参入してくるから、そうなるとディスカウント戦争が始まる。それに巻き込まれて苦労するのもいやだったし、鳥瞰で見て上りのエスカレーターをつかんで乗り換えたかった。

 

──鳥瞰と言われたが、マクロの目を育てるにはどうしたらいいのか。

 いったん、経営を離れたほうがいい。店に出て実務を見れば、一つ二つの店舗経営はうまくいく。だが、人にまかせて、こいつ使ってあいつ使ってとなると、日々仕事に追われてくるから、余裕はなくなる。むしろ、一回、中国を全部ぶんなげて、こんな所で無理にすることはなかったと分かってくる。

 それを責任取ろうとすると追い込まれていく。だが、案外、うっちゃれば、たいしたことはないと分かる。

 大体、3店舗までは目が届くものだ。それ以上、やるとなると同じような人間を増殖させないといけない。だが、優秀であればあるほど、そういう人物というのは独立していこうとするものだ。

 そうすると給料泥棒みたいなのだけが残る。それで、システムを作ればいいというので、フランチャイズの専門家など入れたが、これだって少なくともマニュアル通りにはいかない。

 

──中国に進出しようという企業へのアドバイスは?

 正直言うと、中国人とは付き合いたくない。それより日本人と付き合ったほうが、自分も楽だし金も儲かる。

 中国人と付き合うには、神経を10倍も20倍も使わないといけない。いくら潜在マーケットがでかいといっても、自分が出ていって中国人を使うというのは神経がまいってしまう。そこまで苦労するんだったら、日本で十分だ。

 娘がロンドンに留学しているが、中国人が一番嫌われる。日本人は謙虚だから好かれるが、中国人は自分勝手だ。中国人は俺が俺がで、ちょっと隙があると、持っていかれたりとかする。

 家内も自分は中国人ながら、中国人が嫌いだ。だから日本に住み着いて、中国に旅行してもそこら中で、「そんなんだから中国はだめだ」といっては喧嘩している。

 家内は、アグネスチャン同様に日本語はいまだにうまくならない。この前も「パパは一家の貝柱だから」と真剣に言ってのけ大笑いになった。わけの分からない間違いをよくする。

 

──奥さんとの国際結婚はどうか?

 ある意味、精神的な修行をさせていただいている。

 もう20年たつが、並大抵なことでは怒らなくなった。

 家の中では理不尽なことばっかりだ。子供だってさすがに怒って「ママが間違っている、謝ってよ」と応援してくれるが、それでもママは謝ることはない。

 それで免疫がついてきたと自認していたから、中国でも大丈夫だろうと思ったものの、もっとたちの悪いのが一杯いた。

 ただ家内は石原慎太郎を気に入っている。石原知事は中国人を嫌っているのに、それでもいいと言う。なぜかというと、ものをはっきリ言うからだ。中国人は、お前が嫌いだと言われたほうがすっきりするらしい。

 尖閣もそうだけど、腫れ物に触るように、怒らしちゃいけないとかというのは不要だ。

 だから僕は本音を言うようにしている。今では「中国とは付き合いたくないよ」と、平気で言えるようになった。相手に合わせていったらきりがない。

 

──経営者から見た今の永田町はどうか?

 橋下さんとか石原さんとか、今の政治には必要な人間だと思う。言うべきことを堂々と言う人は、文句を言われるのはしょうがない。何でも清廉潔白だけでは、うまくいくわけがない。

 ちょっとぐらい、ぶれたとしても、温かい目で見守っていく必要がある。民主主義とはいっても、優秀な人間がある程度、人の意見を聴いた上で、決めないと前に進めなくなっている。

 今の政治は、誰も責任を取らなくなった。半年や一年では何もできないのだから、どうなるかやらせてみて、米国のように4年や5年は見ないとだめだ。

 

出典:政界往来  http://seikaiourai.jp/1208/120824.htm

 
投稿済 : 26/05/2022 11:17 am
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