社会問題

今野智博の弁護士法違反事件裁判傍聴記(松井宏編)辻直哉の背後にちらつく黒幕の影

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令和6年11月5日東京地方裁判所において、松井宏の弁護士側立証が行われた。

 この裁判は、弁護士名義を貸し、詐欺の被害金回収をさせたとして元衆院議員で弁護士の今野智博容疑者(48)が弁護士法違反(非弁提携)の疑いで逮捕された事件の中で、弁護士資格がないのに法律事務をしたとして共に逮捕されたグループの一人である、松井宏の二回目の裁判だ。

 もともと共同被告という形で、辻直哉と松井宏と両名が同じ部屋で裁かれる形で裁判が始まったが、今回から分離した形となった。

検察側の立証は前回で終わり、今回は弁護側の立証だった。

 起訴事実に関して、争わないということで、松井は罪を認めた形だった。松井が認めたこととは、加害者への電話と依頼者の電話対応の2つだ。

 逆に言うと、これ以外のこと、例えば契約作業などへの関与に関しては否定していた。

 ようするに、自分はコマとして使われていただけだと言うことであろう。

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弁護士なりすまし対応をするきっかけ

 初めのうちは、今野智博被告の法律事務の手伝いとして働き始めたものの、そのうち、仕事が忙しくなってくると、今野智博被告から弁護士のなりすましをするように求められ、断れきれずに違法行為に手を染めるようになったという。

 初めのうちは違法性を認識していなかったと強調はしていたが、その報酬は100万円から200万円、もらった月では200万円から300万円と、法律事務の報酬としてはかなり高額だ。

 そんな状況からも、徐々に違法なことに手を染めていることを認識していったようであるが、なんとなく続けてしまったという。

 ちなみに松井は前科があるために就職先を見つけるのに苦労していたところ、 湊和徳の株式会社arcxから今野を紹介されたという。

 湊和徳は主犯格として逮捕されている人物で、なりすまし法律事務所は湊和徳の会社である株式会社arcx名義で賃貸されていた。

商号株式会社arcx Copy
商号フリガナアークス
法人種別株式会社
代表取締役湊 和徳
法人番号5010401155619 Copy
会社法人等番号010401155619 Copy
本店所在地〒1050021
東京都港区東新橋2丁目9-1CIRCLES汐留9F

闇バイトのような組織

 今回の松井の証言を聞くと、なりすまし法律事務所の組織は、闇バイトの組織と似ている点が気になった。

 闇バイトは、全体の組織構造が発覚しにくくするために、メンバー間のつながりを希薄になるように運営されている。

 今回のなりすまし法律事務所も、10人ほどのメンバーが一つのチームとして活動していた。

 松井はその中で「知り合いが一人しかいない状態」であり、それ以外の人に関して関わることも無ければ、指示を出すというような関係も持たなかったという。

 隣で電話をしているチームメンバーの会話内容に関しても、「事務員同士の電話をお互いに聞くような状況では無かった」と答えていることから、同じ部屋の中にいながら、お互いの干渉をしないような状態であったことが伺われる。

 これは闇バイトの組織と非常に似ている点である。

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首謀者が誰かは証言拒否したものの?

 闇バイトの特徴として、首謀者が絶対的な命令を出すにもかかわらず、その首謀者の存在が掴めないという点があります。

 松井も上から命令されていただけだ、言われたとおりに動いていただけだと強調していたが、その肝心の上の人が誰なのかに関しては、証言拒否をしている。

 現場の法律実務に関する指示は今野智博被告から受けていて、ただそれに従っているだけだと、あくまでも受け身であることを強調していた。

 この部分の証言だけを聞くと、今野智博が首謀者であるかのような印象を受けるが、もともと今野弁護士に非弁行為をするように持ちかけ、その舞台装置となる事務所を手配したのは、ともに逮捕された辻直哉である。

 つまり今野智博被告を操っていた立場にあったのが辻直哉であり、今回の首謀者にあたると思われる。

 検察もその事を明らかにしようとしたのか、松井宏に対して、なりすまし法律事務所での人員を取りまとめていた人物が誰なのかを質問をしたものの、松井宏は「いいたくない」と回答を拒否しつつも、それは湊和徳でも、その上でもない、さらに今野智博でもないとも回答している。

 そうなると、少なくとも今回逮捕された登場人物の中で、該当するのは辻直哉しか残らない。つまり、辻直哉が首謀者だったのであろうか。

 回答を拒否しているにも関わらず、なぜその首謀者の選択肢を狭めるような追加の回答をしたのかも謎である。

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詐欺の口上指南者に関しても証言拒否

 松井宏が今回の裁判でもう一つ、証言を拒んだ部分は、着手金の説明を作成した人物に関してだ。

 着手金の説明は、着手金をだまし取るという今回の犯罪の直結する部分で、この口上を考えた人こそ、まさにこの犯罪の主犯者であり、首謀者だ。

 しかし、それに関して、松井宏は名前を言うことを拒否した。

 つまり、その名前を言うことで松井宏に不利益が生じるからだろう。

何を恐れているのか?共犯者として捕まった辻直哉を恐れているのだろうか?

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傍聴席一角を占める不気味な集団

傍聴席は20~25名ほど。法律業界関係者や司法修習生と見られる人が7~8名ほどで、あとは興味を持って来ている傍聴人といった様子であった。

 しかしその一角に、明らかに他の傍聴者とは違う雰囲気を醸し出す、異様な雰囲気の集団がいた。

 その集団はあたかも松井宏の裁判での言動を監視しているように見えたと思うのは気の所為であろうか。

 今回、松井宏はすでに保釈されていたので自由の身ではあるものの、それは同時に辻直哉あるいは辻直哉の背後に控えるグループの直接の監視下に置かれていることでもあろう。

 となれば、そのグループの首謀者、黒幕の手がかりにつながるような問に関しては拒否せざるを得ないであろう。

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まとめ

松井宏は自らの犯した罪に関しては認めていたものの、組織の解明につながるようなことに関しては、どこか消極的な態度が目立った。

あるいは必要以上に今野智博を首謀者に仕立てようとしているかのようにも見えた。

そして傍聴席からの監視を恐れているようでもあった。

 弁護士を装い、ニセ電話詐欺や交流サイト(SNS)型投資詐欺などの被害を受けた全国の約900人から依頼を受け、計約5億円の着手金報酬を得ていた容疑者たち。松井宏もその中のひとりだ。

被害金の返還に至ったケースはほとんどなく、弁護士を頼った被害者を更に騙し、弁護士の信用を根底から揺るがしたこの事件。

松井宏は証言拒否などせず、積極的にこの事件の解明に協力してほしかった。

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国際新聞編集部

ただただ謙虚な姿勢でありのままのことをありのままに伝えることこそ、 ジャーナリズムの本来のあるべき姿。 それを自覚はしているものの、記者も血の通った人間。 時にはやり場のない怒りに震えながら、 時には冷酷な現実に涙しながら、取材をし、 全ての記事に我々の命を吹き込んだ新聞を作っています。

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