社会問題

メンズエステ強盗裁判傍聴記~侵入目的は窃盗ではない?

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 今、メンズエステ界では強盗被害が多発していると言う。多発と言うとまだ控えめで、もう、日常茶飯事、ほぼ毎日だといってもいい過ぎでないほど、あちこちで強盗被害が起きていると言う。しかしそれら事件はほとんどが表面化すること無く、闇から闇に葬られていると言う。そんな中、警察沙汰になり裁判にまでなっている珍しいケースを追った。

頻発するメンズエステ店強盗の特徴

 こうしたメンズエステ店の強盗被害の犯人はほぼ関係者というのが特徴だ。というのも、メンズエステ店の営業場所は、各所に点在するマンションの一室であるが、スタッフが常駐していないことが多いので、解錠するための鍵や暗証番号をセラピスト達と共有する形で管理している。そして関係者しか知り得ない、鍵や暗証番号を利用して、留守の間に忍び込み強盗する手口だ。
 基本的に、施術室となるマンションや、施術室は防犯対策がしっかりとされていて、防犯カメラなども完備されている上に、鍵や暗証番号を共有している人は限られているので、その犯人は簡単に突き止めることも多く、誰がいくら盗んだかということまで詳細に把握しているお店もあるというが、しかし警察沙汰にすることで、警察の目がお店の営業の方に向けられるのを嫌がり、示談や、見て見ぬふりをしているのが現状だと言う。そうしたお店側の弱みにつけこみ、メンズエステ店をターゲットにした強盗グループもいるほどだと言う。
 強盗グループは、足がつきにくいように、全く関係のない、外部の第三者の協力を得て、お店に内通しているエステシャンが、施術室の解錠の情報や留守状況を伝えて、強盗をするといった、分業が行われていると言う。

盗むつもりはなかったと弁明の松島祐介

 今回、傍聴したメンズエステ店の事件は、そうした多発している強盗事件と手口が非常に似ているものの、被告である松島祐介は、すでに強盗として逮捕起訴されているセラピストの代理人として留守中の施術室に忍び込み、現行犯逮捕されたものの、強盗するつもりはなく、不法侵入しただけであり、強盗するつもりはなかったという点を争っている。

松島祐介
松島祐介のインスタグラムのアカウントを開くと一番はじめに飛び込んでくるのは松島祐介の自慢の刺青。三年間かけてやっと完成したばかりだったという。

建造物侵入、窃盗未遂裁判の二回目公判

 6月21日午前10時、東京地裁刑事部532号法廷に、松島祐介が刑務官につれられ法廷に入ってくる。
 起訴状によると、メンズエステ店でエステシャンとして勤務していた佐藤亜実佳が、松島裕介に対して、「クビになった仕返しに、その勤務していたお店が違法店である証拠を掴んで、摘発に追い込みたいから、その証拠収集の協力をしてくれ」と依頼したといいます。そこで、松島裕介は共犯者(佐藤亜美佳)から得た情報を元に、エステサロンの施術室となっていたマンションの部屋の鍵の隠し場所を教えてもらい、その鍵で留守中の施術室に侵入し、物色。その後、部屋から出た所を現行犯逮捕されることになる。
 検察側は逮捕時の所持金が410円しかなかったことから金銭的な事情もあり、窃盗未遂ではないかとしていたが、松島裕介は、自己破産消滅時効待ちだったこと、新宿区から給付を受けていたことなどをあげ、金銭で困っていた事実はない、違法営業の証拠を見つけようとしただけだとしている。しかしながら、違法営業の証拠は一切つかめていない。 そもそも、留守の施術室に入ることで、どうやって違法営業を証明しようとしたのであろうか?筆者には苦しい言い訳にしか聞こえない。

松島祐介
松島祐介(右下)は歌舞伎町を根城に活動していたらしく、#歌舞伎町輩軍団 とハッシュタグをつけて歌舞伎町の写真を多数投稿していた。

違法捜査だから証拠は無効だと主張

 また、逮捕時に所持していたスマートフォンの履歴から、犯行動機の裏付けや共犯者の情報を得ることに繋がったものの、現場で逮捕にあたった警察官が、松島祐介のスマートフォンを解錠させるさいに、手続きに不備があったとして、スマートフォンには証拠能力がないという主張だった。懲役10年以下の窃盗罪をかわし懲役3年以下の建造物侵入のみを認めるという苦しい反論にみえる。
 実際、そのスマートフォンの情報を元に、仲間たちは窃盗犯として芋づる式に逮捕起訴されたというが、場合によっては松島祐介が否定しているはずの窃盗未遂をひっくり返してしまうことになりかねない存在でもある。スマートフォン経由の証拠を全て無効だと主張したい所以でもあろう。

極東会執行部松山連合会最高幹部古庄一家総長古庄正裕さんと松島祐介のツーショット
極東会執行部松山連合会最高幹部古庄一家総長古庄正裕さんと松島祐介のツーショット

松島祐介を犯罪に駆り立てたものはなにか!

 なぜ松島祐介は佐藤亜美佳の逆恨み話に協力したのだろうか。佐藤亜美佳の身勝手な恨み話のために、留守中の施術室に違法解錠で忍び込むという明らかな犯罪という身の危険を犯してまで、佐藤亜美佳の言うことを聞かざるを得ない、特別な事情があったのか。それとも検察が疑っているように、金銭を奪う目的に突き動かされて、犯行に及んだのか。
 この裁判と同時進行で進んでいる共犯者たちの裁判次第では、新たな展開を迎える可能性もあり、今後の行方から目が離せない。

<つづく>

国際新聞編集部

ただただ謙虚な姿勢でありのままのことをありのままに伝えることこそ、 ジャーナリズムの本来のあるべき姿。 それを自覚はしているものの、記者も血の通った人間。 時にはやり場のない怒りに震えながら、 時には冷酷な現実に涙しながら、取材をし、 全ての記事に我々の命を吹き込んだ新聞を作っています。

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