「みんなで大家さん」は、不動産特定共同事業法に抵触する可能性が指摘されています。具体的には、以下の点が問題視されています。
1. 情報開示の不十分さ:
- 投資家に対するリスク情報の開示が不十分であるとの指摘があります。
- 不動産投資にはリスクが伴いますが、そのリスクに関する情報が十分に提供されていない可能性があります。
- 運営会社の経営状況に関する情報開示も不十分であるとの指摘があります。
2. 優先劣後出資に関する問題:
- 「みんなで大家さん」は優先劣後出資という仕組みを採用していますが、この仕組みに関する情報開示や説明が不十分であるとの指摘があります。
- 優先劣後出資とは、投資家と事業者が共同で出資し、損失が出た場合に投資家が優先的に損失を負担する仕組みです。この仕組みは、投資家にとってリスクが高いものです。
3. その他:
- 過去には、行政処分を受けています。
- 元本保証を謳うなど、誤解を招く可能性のある広告・宣伝が行われているとの指摘があります。
関連する法律:
- 不動産特定共同事業法: 不動産特定共同事業を行う事業者の業務の適正化を図り、投資家保護を目的とする法律です。
- 出資法: 出資の受入れ、預り金、及び金利等の取締りに関する法律です。
- 金融商品取引法: 金融商品の取引に関する規制を定めた法律です。
これらの法律に違反した場合、行政処分や刑事罰の対象となる可能性があります。
「1580億円」の開発に4年の遅れ 投資商品「みんなで大家さん」「都市綜研インベストファンド」
成田空港近くの東京ドーム約10個分の土地にホテルなどを建設するとうたう大規模開発の工事完了予定が、当初計画から3回変更され約4年8カ月遅れている。行政が許可し、投資商品「みんなで大家さん」として1500億円超が集まったとされる開発をめぐり、何が起きているのか。
土地の面積は約45・6万平方メートル。2019年10月、成田市が東京都千代田区の不動産会社「共生バンク」の申請に基づき、開発許可を出した。うち約6・3万平方メートルは農地だったが同月、千葉県が農地転用を許可した。
関係者によると、全体の約4割は政府が100%出資する成田国際空港会社が所有。同社は翌20年9月、共生バンクに年間賃料額約1800万円で貸す契約を結んだ。
共生バンクは「ゲートウェイ成田」と称して一帯の土地にアリーナやホテルを建設すると主張する。
■「新型コロナとウクライナ紛争」の影響 開発業者が主張
都市計画法に基づく開発登録簿によると、工事の完了予定は当初21年3月だったが、22年10月、23年10月と延び、25年11月となっている。
今年1月時点の農地転用対象の土地の状況を共生バンクが千葉県に説明した文書について、朝日新聞は情報公開請求で入手。工事の進捗(しんちょく)状況は、土木工事に対する進捗度が69%、建築工事は0%、全体は2%だった。
同社によると、開発資金は不動産特定共同事業法(不特法)に基づく投資商品「みんなで大家さん」として、同社子会社「みんなで大家さん販売」(販売社)と、グループ会社「都市綜研インベストファンド」(ファンド社)が、20年11月から調達していた。
1口100万円から出資すれば「想定利回り7%」などと勧誘し、土地や募集時期ごとに1~18号に分け、今年9月までに延べ約6万1千人から合計約1580億円を集めたという。
ただ、今年6月17日には、東京都が販売社に、大阪府がファンド社に対して、それぞれ不特法に基づき、新規契約など業務の一部停止(30日間)を求める行政処分を出した。
理由として16号を挙げ、開発許可の対象ではない土地を契約書類に記載し、事業プランの変更に関する説明が不十分だったなどと指摘した。
販売社とファンド社は同月、都と大阪府を相手取り、処分の取り消しを求めて訴訟を起こした。訴訟資料によると、処分が公表されてからの24時間で、出資者400人以上から28億円以上の解約申し入れがあったという。
行政処分について共生バンクは「共生グループとしてまとめて回答する」とした上で「問題がないよう措置をした」「適切な情報提供をしてきた」などと回答。開発の遅れは「新型コロナ禍の影響とロシア・ウクライナ紛争による影響」と説明した。