社会問題

中国の防空識別圏問題について(特別寄稿)

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最近のアジア情勢が緊迫感を増していることは、誰の目にも明らかである。

日本について言えば、韓国との歴史や領土問題と、それに伴う首脳会談の決裂ばかりに目が向いている感があるが、パワーポリティックスの観点から言えば、中国との現在、および今後の関係のあり方が、最も注視されることは言うまでもない。
数年前より、アジア情勢は各々の国家関係が複雑に入り組んだ状況を呈している。
90年代以降、いわゆる東西冷戦構造の崩壊以後、激化した国家関係の無秩序はその初期段階において、こうした複雑さをすでに予見させいた。
自由主義陣営においては、共産主義の衰退が即自由主義の勝利であり、優位な秩序の不動的確立ととらえ、侮ってきたその機能が、世紀を跨いで顕著に表れてきたと見るのが自然であろう。
日本は、ソビエト連邦の崩壊と、バブル経済の隆盛によって、富国を構築するものと見通しを立てたが、時代の変化というものが、人間ご時の推算力では図ることができないものであることを知らなかった。

ことにもっとも予見不明の地は、アジアである。

中国の民主化運動は、共産主義の悲惨な末路を最も的確に表すものととらえながら、中国は一部市場経済の導入などによって、ソビエトをはじめ、ヨーロッパ諸国のような末路をたどらなかった。
それどころか、共産国の中では唯一の成功例として君臨し、アジアの中で、覇権主義をほしいままにしてきたのだ。
中国のしたたかさは、もはや世界の常識となり、強権は東南部から徐々にアジア全域に浸透していったが、その段階で、日本は経済及び軍事外交の両面で警戒を強めるべきであった。
南沙西沙両諸島の領有権を巡る中国の軍事行動は、弱い者いじめという軽薄なものではなく、傲慢無礼な制圧だったということは、国際社会の共通した認識であった。
経済的発展の著しい中国にすり寄ることが国益になると考えてか、あるいはアジアの安定のために中国に依ることを得策と考えたのか、日本は近年中国に服従とも思える愚策を弄してきた。
日本の軟弱外交を厳しく指弾する者にとっては、尖閣諸島に関わる諸対策でさえ、無能政治家にしてはよくやっていると皮肉られるほどの向き合いであった。
現下アジアにおける最重要課題は、南北朝鮮の緊張緩和であり、その他にも経済、軍事等における係争事は決して少なくはない。 中国と北朝鮮の関係が以前ほど緊密ではなく、また同盟国とみられている日本と韓国がかつてないほど険悪化し、それがアジアに留まらず、グローバル化していることは、米国のあらゆる面での介入にも表れている。 それはここ一年や二年の問題ではない。

20131127-00000026-xinhua-000-0-viewこの防空識別圏というものは、対日本を意識して設定されたものであると同時に、以前から専門家の間では、いずれ中国は設定してくるだろうと見られていた。
この時期に踏み切ったのは、昨年九月、日本が尖閣諸島を国有化したことに発端があると見るべきであろう。
それ自体は決して誤った施策ではなかった。

しかしその後中国は、海洋監視船を派遣し、日本領海への侵犯を繰り返し、同年12月13日には中国機が初めて尖閣沖上空の領空を侵犯したほか、日本の防空識別圏にも侵入を繰り返してきた。
日本の政権が民主党から自民党に移った時、中国は、日本にある種の警戒感を抱いていた。
タカ派で中国に対して強硬に出てくるとみていた安倍晋三の総理就任によって、その政権を軟化させることは国策であったといっても良い。
それは中国の覇権主義の魂胆から十分うかがうことができた問題である。
日本が尖閣を国有化した時、中国は何らかの対抗措置を取らなければならないと考えた。
いかなる措置をとるのか、日本にとってはその段階では明確に定めることはできなかったが、中国の国性上、それは十分予見できたことである。
中国にとっては、日本の実効支配と国有化に対抗できる手段を取らなければ、永遠に日本の領土であるという観念を認めさせることになると、勝訴感を抱くのは当然のことである。
しかしながら、この問題は、中国にとって予想外の結果を見た。
中国にとって、その動向に最も関心を持っていたのは、米国の動きである。
今後の軍事戦略上、アジアにおける支配権の確立のために、彼らは米国の動向を中止せざるをえない。
したがって、中国は防空識別圏を制定した段階で、米国が何らかの反応を示すことまでは予見していた。
しかし日米同盟は予想を超える緊密関係にあるととらえたことだろう。
米国ばかりでなく、世界の多くは中国のやり方を非難する見解を示し、英紙フィナンシャルタイムでは、「無責任なゲーム」とまで呼び、中国を非難している。
経済大国化し、大きな暴発はしないという意味において、信用を得ている中国は、北朝鮮のような度を超えた恫喝行為ができないゆえ、この設定は中国を四面楚歌に追い込んだ軽挙妄動と言えるだろう。
そうした国際世論の優握をうけた日本や韓国など近隣諸国が、中国の要求する飛行計画の事前通告を無視して従来どおりの飛行を展開したのは、主権国家としては当然のことである。
これに対し、中国は大きな反応を示さず、スクランブルも行われなかった。
しかしながらこうした恫喝行為を、中国側の単なる脅しとみることはできない。
中国にとって、これを黙認することは、口先だけの国と捉えられかねず、今後の外交に大きな禍根を残すと考え、何らかのアクションを起こすことが十分想定できる。
事実、中国国内では、これでは防空識別圏を制定した意味がない、好き勝手されていいのか、恥をかかされた、という声が噴出し、挑発行為、撃墜すべき、といった声も出ている。
メンツを重んじる傍若無人の国家が、権威を示すために突飛な軍事行動に出ることは考えられないことではない。
いずれにせいても、日本は日米同盟を強化し、蛮国中国の野望を粉砕すべく、軍事力を強化する必要性に迫られているといってもいいだろう。
中国の防空識別圏の設定は、平和ボケした日本国民が考える以上の重大事であるが、これが国民意識を目覚めさせるきっかけとなるならば、かえって幸甚といえるかもしれない。(小松憲一)

中国防空識別問題について

≪概要≫

平成25年11月23日、中国政府が防空識別圏を、東シナ海に制定した。
ちゅうごくの防空識別圏は、朝鮮半島の南側から台湾の北側まで、日本の南西諸島に沿うように制定され、その範囲には尖閣諸島上空が含まれている。
中国の軍報道官は、識別圏制定の目的を、国家主権と領土の安全を守り、上空の飛行の秩序を維持することだとしたうえで、「特定の国に向けたものではない」と強調しているが、制定は東シナ海上空だけで、領土や歴史問題で対立する日本を念頭に置いた動きであることは間違いない。
中国政府は、防空識別圏内を飛ぶ航空隊は、飛行計画を中国外務省、または航空当局に提出する義務を負うものと公告し、命令に従わない場合は中国軍が、「防御的な措置を取る」と公言している。
中国国防相は早速識別圏での初の巡視飛行を実施した。

この防空識別圏は、日本がすでに設けているものと重なり合っているため、今後、上空で戦闘機のつばぜり合いが頻発しかねず、緊張が一層高まる懸念があると専門家は分析する。
中国国防省報道官は、日本側が中国機を領空侵犯したとして撃墜したら「一種の戦争行為」と強硬姿勢を強めている。
中国が実効支配していない尖閣諸島上空を、識別圏に入れたのは、外うな挑発行為と言える。

防空識別圏とは、領空侵犯に備えるために、領空の外側に制定した空域で、対外的に公表し、圏内に入る航空機には、事前に通貨位置、通過予定時刻の報告を求め、国籍確認などを行うための領域。
通報なく、侵犯した場合は、国籍不明機と判断され、迎撃戦闘機の緊急発進(スクランブル)の対象となる。
1950年代に、米国が初めて設定。その後、日本や韓国、台湾などが設けた。国際法上確立した概念ではないが、防衛上の必要性から、国際的に採用されている。(北海道新聞)

追記

中国が尖閣諸島(魚釣島)を自国の領土として何らかのアクションを起こすことは、数年前より明らかだった。
中国は、日本に対して強圧的に出てきても、対抗手段は取ってこないと甘く見ている。

それは、歴史問題や靖国参拝、あるいは中国国内で起こした国民の「反日暴動」に対する日本の反応で確信し、ならば遅くならないうちに、この領土は自分たちのものだという観念を諸国に示さなければならないと考えた。
中国は、日本国内における空気(一種の疎外感)を利用して、一気に尖閣諸島のアドバンテージを握って支配の正当化を確立しようともくろんでいる。

彼らが念頭に置いているのは、米国の存在である。

しかしながら、米国が思っていた以上の警戒感を持ち、危機感を持っていることを知り、さらには、日本をはじめ、従属国家とみていた韓国までが反発し、世界の反応が思っていた以上の敵対意識をいた居ていることを知る。

今後、どういった手段に出るのか。

中国や韓国は、徐々に悟りつつある。「知らなかった…我々がこんなに世界から嫌われていたなんて・・・」
「知らなかった・・・。好日親日の国がこんなに多かったなんて・・・」
いずれ「南京事件」「従軍慰安婦」のウソがバレるだろう!」

国際新聞編集部

ただただ謙虚な姿勢でありのままのことをありのままに伝えることこそ、 ジャーナリズムの本来のあるべき姿。 それを自覚はしているものの、記者も血の通った人間。 時にはやり場のない怒りに震えながら、 時には冷酷な現実に涙しながら、取材をし、 全ての記事に我々の命を吹き込んだ新聞を作っています。

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