改めて、住友不動産が都市アーバン開発とTSK跡地の売買契約を交わした際の経緯を振り返ってみる。
コンプライアンスに触れる問題から言えば、同社のビル事業本部に所属する担当者の「陳述書」(平成24年2月24日付)に明記されたとおり、
売買契約には売買の打診から交渉、そして本契約(立会)に至る全ての場面で「S」なる人物が関与した事実を明らかにしているが、
この人物の経歴、人脈等について、果たして同社ではどのように認識されていたのか、疑念が生じているというものだ。
この「S」という人物については。「自らが関係する民事訴訟で暴力団山口組幹部と泥懇の関係にあることを認める証言をしている」(事情通)という指摘があるほか、
同人が代表を務める会社に、暴力団山口組の「企業舎弟」(フロント)と呼ばれ、実際にもそれを裏付けることになった刑事事件関係者が「取締役」に就いている事実が判明している。
また、S氏の子息が代表を務める会社が宅建業法違反で平成22年1月に免許を取り消された事実も判明しているが、
住友不動産にとって「それまで面識もなく、取引も無かった」(陳述書)というS氏については、
同地の売買交渉も平成21年頃に「飛び込みから始まった」(前同)というものの、都市アーバン開発側から”仕向けられた”と見るのが至当だろう。
富士薬品、捕らぬ狸の皮算用
まだある。それは富士薬品を巡る問題だ。
周知のように同社は配置薬業界では最大手企業として知られているが、
同社は一方でリーマン社がマラソン社に権利譲渡した後、マラソン社に協力する恰好で「富士インベストメント≒富士リアルエステート」という会社をダミーとして設立し、
名目上で都市アーバン開発に資金を流す”役割”を負っていた。
ドラッグストアチェーンを全国に造るという名目の中、同社はハイリスク・ハイリターンの事件物件に手を出すようになり、
金銭、業務等、様々の場面で事件に巻き込まれ、TSK跡地への投資もその一つだった。
「富士薬品は、結局は不動産投資で200億円以上の損失を出してしまい、起死回生を狙ってTSK跡地に係る事件に巻き込まれた」(前同)
そうした中で、双海通商、大津卓滋弁護士が主導するグループと対立する恰好で関わっていた東洋不動産(大津洋三郎代表)にも関わっていた。
それが東洋不動産の申し立てた処分禁止仮処分に関連して供託された5億円余の資金提供だった。
つまり、富士薬品はTSK跡地の再開発を巡って利害の対立するどちらにも資金提供で関わり、
結果としてより利益の大きい側に乗ろうという天秤をかけていたことになる。
だが、そこでも案の定、富士薬品は事件に巻き込まれた。供託金詐取事件である。
東洋不動産は、平成15年当時にTSK跡地の所有権移転仮登記をなしていた一條という会社の権利を、
一旦は自社で買い受けた後に転売するに際して、その仲介に入った緒方重威(元公安調査庁長官、弁護士)と満井忠男(三正社長)の両人に翻弄され、
挙げ句同社が受け取るはずの手数料を馴取されたとして、東京地裁にTSK跡地の処分禁止仮処分を申し立てた。
だが、自己資金の調達に窮していた東洋不動産が、仮処分申請で供託された5億円余りを事実上の担保として第三者からの融資を受ける中、
前述したように一旦は認められた仮処分が買い手側の異議申し立てを東京高裁が認めたことによって、
宙に浮いたような状況にあった供託金の返還請求を富士薬品がしようとした際、
その供託金の「取り戻し請求権」が第三者に”転売”されていた事実が発覚したのである。
東洋不動産の代理人は辻恵弁護士で同人は民主党元国会議員。
小沢一郎議員を巡る陸山会事件で検察審査会を糾弾した議員として知られる。
「問題だったのは、取り戻し請求権が
転売されたという人物が反社会的勢力に属していたからで、
辻弁護士は確かに関与を否認して、
つまり転売に係る書類が偽造されたとして警視庁に被害届を出した」(関係者)
ところが、一部の全国紙がその事実を記事化したことで、事態は一変する。
「何か原因だったのか、辻弁護士は供託金を富士薬品に返還する手続を取ったが、
そもそもの依頼人だった東洋不動産、そして供託金を担保に融資を実行した大阪の不動産管理会社には無断でそれを行ったことから、一層混乱を招く結果となった」(前同)
供託金を富士薬品に返還するために、最も重要なことは「取り戻し請求権」が転売された事実関係の究明がなくてはならなかった。
それをどのように”解決”したのかが依頼人たる東洋不動産には明らかにされないまま手続は進められ、
わずか2週間ほどで東京地裁は「調停終了」の決定を下し、供託金は返還された。
そうすると、辻弁護士が警視庁に出した被害届(告訴状)の存在はどう解釈すれば良いのか?
一昨年の平成23年12月中旬、大手マスコミが「東京地検特捜部による強制捜査」という情報をもとにして取材に動き、
辻弁護士は暮れも押し詰まった12月28日に緊急の記者会見を開くことになった。
その中で辻は「資金を提供した富士薬品から強い要請があったためで、勝手に転売した側の反社会的勢力と目される人たちとは(富士薬品側で)話がついている」
「警視庁に対しては翌年の10年1月頃だったか、告訴を取り下げた」などと主張したが、その釈明には納得のいかないいくつかの矛盾が見受けられた。
見てきたように、TSK跡地を巡っては事件を引き起こす”火種”が山積している。それが、いつどのような形で噴き出すか知れたものではない。
住友不動産は、昨年春に高層の分譲マンションを建築すると発表し現地に看板を出した。
しかし、1年以上を経た今も工事が着工する気配はない。
この先、売買契約を巡ってのコンプライアンス問題を放置したまま事業化することなど明らかに無謀であると思えるが、成り行きが注目されるところだ。
TIMES 2013.12
いわくつきの超一等地「六本木TSKビル跡地」を住友不動産が格安116億円でついに取得!
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/3884 8" target="_blank" rel="noopener"> https://gendai.ismedia.jp/articles/-/38848
不動産業界関係者なら誰でも知っている都内屈指の有名物件が、最後の法廷闘争を終え、いよいよ再開発へ向けて本格始動することになった。
六本木の有名物件めぐる訴訟が意外に早く和解決着
広域暴力団「東声会」を率いた町井久之氏が、実業家への夢を託して築き上げた六本木TSKビル――。
2002年に町井氏は死去。以降、地下鉄六本木駅から徒歩数分の場所にあるこのビルは、町井氏が残した複雑な権利関係を解きほぐし、一団の土地に仕上げて“果実”を得ようと、不動産ブローカー、地上げ屋、事件屋、仕事師といった名うてのプロが集まり、腕を競った。
その結果、都内の不動産会社「双海通商」が、系列の都市アーバン開発を使って土地をまとめ、解体して更地にし、2011年10月、大手の住友不動産に売却した。
しかし、すぐに異議が唱えられた。
米国を中心に、日本、香港、インド、フランスなどに投資する1兆円ファンド「マラソン・アセット・マネジメント(マラソン社)」が、
「真の所有権者は我々(同社と傘下ファンドのコモン・ウェル・マネジメント・インク)だ」として、住友不動産に対し、所有権移転登記抹消を請求する訴訟を起こした。
外資系ファンドが、日本有数の大手法律事務所を使って法廷闘争を仕掛けてきた。決着までに長期戦が予想され、後述するように、所有権移転の際どさもあって、マラソン社優位の決着も予想された。
そこに至るまでの過程と争点を、私は本コラムで〈住友不動産が米ファンドを返り討ちに!? バブルの“怨念”渦巻く「六本木TSKビル跡地」をめぐる攻防劇〉(12年6月28日配信)と題してお伝えした。
だが、住友不動産と双海通商VSマラソン社の攻防は、昨年末までに和解で決着。計画を新たに作成、再始動することになった。
住友不動産は、これまでの経緯と今後について、次のように答えた。
「守秘義務もあり、詳細は申し上げられませんが、和解で決着したのは事実です。また、マンション建設計画は白紙に戻し、看板(『建築計画のお知らせ』)も撤去、新たな事業計画を策定中です」(広報部)
玄関前に牛の頭!? 六本木“幽霊ビル”売却めぐる地上げ屋と暴力団の暗躍、警察との癒着も……
https://www.excite.co.jp/news/article/Cyzo_201408_post_17594 /" target="_blank" rel="noopener"> https://www.excite.co.jp/news/article/Cyzo_201408_post_17594/
日本のショービジネスの一翼を担った、東京・六本木一等地の“いわくつき”ビル「TSK CCCターミナルビル」が、住友不動産に16億円という格安の値段で売却されたのは3年前。
この時、地上げを担当した新橋の不動産会社「双海通商」が、関西の暴力団を使って犯罪まがいの行為をしていたこと示す資料が今になって流出し、警視庁が慌てているという情報を入手した。
「情けない話ですが、地上げによる犯罪で逮捕者が出なかったのは、双海通商が“桜田門のフロント企業”と呼ばれるほど、警視庁の幹部連中と親しかったからですよ」(警視庁捜査関係者)
TSKビルは、広域暴力団「東声会」(現・東亜会)の初代会長の故・町井久之氏が実業家の夢を託して築き上げたビルで、そのほかに町井氏は「東亜相互企業」という会社を所有し、大型クラブを何店舗も経営していた。
TSKビルのオープン当初は、セレブが集まるクラブやレストランが入っていたが、その後、“ムード歌謡の女王”と呼ばれた故・松尾和子さんやデヴィ夫人がママを務めたクラブが、外国からアーティストを招へいして、ショーを開いていた。
その後、バブル崩壊でビルに入居する店は次々にクローズ。幽霊ビルといわれた。
また、TSKビルはオープン当初から芸能人が集まることから、“芸能人御用達ビル”ともいわれたが、2002年にオーナーの町井氏が亡くなってから売却話が持ち上がり、
六本木の一等地のビルに日本全国から暴力団や詐欺師・事件屋や地上げ屋が群がった。
朝鮮総連本部ビル売却問題で逮捕された、公安庁調査庁の緒方重威元長官まで暗躍したといわれる。
そんな日本のワルたちが群がったTSKビルだが、今回流出した資料によると、双海通商は関西の暴力団を利用して、競売に参加した人間の頭を灰皿でカチ割ったり、
牛の死骸の頭を競合会社の自宅前に置いて嫌がらせするなど、犯罪と呼べるような悪質な手口を繰り返してきたというのだ。
ところが、これらの行為は一度も事件化していない。しかし、筆者は、親しいマル暴捜査関係者から「双海通商の関係者を逮捕するべく動いたんですが、いつの間にかうやむやになっていました」という情報を得ていた。なぜ、事件化しなかったのか?
当時から、双海通商のA社長と警視庁幹部との癒着がウワサされていた。双海通商の幹部は、毎日、警視庁の幹部と麻雀することが仕事といわれていたほど。
ちなみに、このA社長は、人気子役タレントの鈴木福や小林星蘭らが所属する「総合芸能学院テアトルアカデミー」も運営している。子どもたちに夢を売るビジネスの裏では、ヤクザと警察を狡猾に利用しながら地上げを行う大人たちの姿がちらついているのである。
この地上げの実態の資料を入手した民族派団体「大日本新政會」はすでに双海通商に対して街宣車で抗議行動を起こし、その模様をホームページ(http://www.dainipponshinseikai.co.jp /" target="_blank" rel="noopener"> http://www.dainipponshinseikai.co.jp/ )で紹介しているが、メディアが本来問題にすべきは、こうした企業をはびこらせる、腐りきった警視庁の体質だろう。